突然だが俺氏は賃貸住宅のトラブルに巻き込まれた。
12年住んで退去した部屋の、過大な原状回復費用を大家さんに請求されたのだ。
振り返って説明しよう。
退去してしばらくして、見覚えのない封筒が届いた。
(イメージ)
開封してみると、「敷金精算書」と書かれた書類が――うわー! 敷金を返してくれるんだ! 忘れてたお金ってラッキー! そう思って中の書類をよくみると……んぁ!?
「敷金だけでは現状回復費用に足りません。追加で35万円をお支払いください」
というショッキングな内容!
温厚な人柄ということが世界的に著名な俺氏も、さすがにブッチンときたぜ!
おいおい、高すぎだろ因業大家! ワナワナワナ……書類を持つ手が怒りで震える。
これまでいろいろ、大家さんを手伝ってきた。
いつも会えば挨拶もしてたし、旅行に行ったらお土産も渡しに行ってた。大掃除や、降雪のときは雪かきを手伝ったり、良い関係を保っていたと思ってた。
が!
こんな強烈なラブレターを送り付けてきやがるとは、いい根性しとるな!
まずは落ち着いて作戦を練ろう。
たしかに、部屋はそれなりに汚れた。壁にカビも生えた。が、借りたときから新築でもなく傷もたくさんあったし、10年以上居住したのだから、それなりに痛むのは当然だ。人が住まないほうが家は痛むというし。
さらに、明らかに入居時にあったユニットバスの壁の傷まで明細書に計上している。
計算すれば、累計で数千万円の家賃と更新料を払ってきた優良な店子だぞ? 家賃の支払いが遅れたこともないぞ? それなのに、なんだこの仕打ちは。おかしい、絶対おかしい。
俺氏はすぐさまパソコンに向かい、情報収集を始めた。
すると、すぐにこういう敷金トラブルが頻発していることがわかった。で、それに堪り兼ねたのが監督省庁である国土交通省。紛争が相次いだため、賃貸物件の現状回復に関するガイドラインを制定していたんだ。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf
ここにある。A4用紙で169ページにもなる大作だが、戦うならざっと目を通したほうがいい。ガイドラインのほか、判例も豊富に掲載されていて勉強になる。
ま、かいつまんでいうと、こんな感じだ。
賃貸住宅もレンタカーみたいなもので、
「すり減ったタイヤ代、摩耗したブレーキパッド代、汚れたオイル代もきっちり払え!」
と言うのは道理にかないませんよ、ということになっている。だから、裁判になっても、そんな大家の主張は、ほぼ認められていないというのが現状なのだ。
か、勝てるんでは!?
頑張れば、請求を放置して、無視したまま突っぱねることもできそうだが、遅延利息でも請求されたらたまらない。
俺氏は、弁護士に相談した。知り合いに医者と弁護士はいたほうがいい。
で、その弁護士との相談のもと作成した内容証明郵便のひながたを紹介しよう。
長くなったので次回に続く!